「ブランコ乗りとキーホルダー」 助川久美子/作曲
Anthony K./作詞
引き出しに
カギを残して
新しい トキメキを
求めて

君が 出て行った
あの日から

ぼくは 君の キーホルダー
君は パンドラの箱に
カギをかけ

ぼくに それを預けた
でも 忘れないでおくれ
カギは 閉めもするし
開けもすることを
そして時々
思い出しておくれ

二人がこの世に
生まれたわけを

君が 立ちすくんだとき
ぼくは
そっと背中を
押した
君が 振り向いたら
笑顔で

この手に
君を 引き寄せた
ブランコの乗り手と
こぎ手のように

ぼくが 君に
あげたもの

ぼくが 君から
奪ったもの

それが 君の言う
「冷たい自由」か
だけど「自由」とは
手編みのニットさ

ほどけば
一本の糸に戻る
ブランコに
乗った君は もう
一人で こげるように
なったんだね

ならば ぼくも
こぎ始めよう

ぼくは 君の キーホルダー
君の胸がまだ
つぼみの頃から

それは 決められていた
この 出会いと 別れを
ぼくは わかっていた
二人が勝手に
気ままにこいで
揺れが合わなくても


ぶら下がっている
軸は同じさ

そして時々
思い出しておくれ
二人がこの世に
生まれたわけを



一人多重録音
助川久美子 vocal,woodbass,acoustic guitar


この曲は、初めて詞が先行し、それに助川久美子が曲をつけた作品である。私が彼女から曲をもらうと、たちどころに言葉が出てくるが、彼女にとって言葉からメロディーを紡ぎ出すのは難産のようだ。サビの部分のメロディーはすぐに浮かんだようだが、Aメロ・Bメロと展開していくのに苦労したようだ。

実はこの詞のモチーフは、彼女と出会うずっと以前から、すでに私の頭の中にあった。キーホルダーのイメージは、20代前半の頃に浮かんだものであり、ブランコ乗りのイメージは結婚して子どもができてからのものである。

公園でブランコに乗る子どもに、せがまれるまま背中を押して漕ぐのを手伝ってやると、こうして親は子どもの成長を後押しすることにより、結局のところ子どもが自立して自分の元を去って行くのを促しているのだという複雑な感情にとらわれる。こうした思いは、親子関係に限らず男女の間にもあるだろう。互いの成長を支援しあう良い関係が、皮肉なことに別れにつながることもよくある。

ブランコ乗りのイメージとキーホルダーのイメージは、二十年の時を隔てて、この作品の中で一つになった。


文/Anthony K.