地球は回る 助川久美子/作曲
Anthony K./作詞
地球は回る ぼくらを乗せ
銀河の渦の中
地球は回る ぼくらを乗せ
銀河の渦の中
火と水と ひとつになれ
空と大地 ひとつになれ

カエルの子が つぶやく
どうして ぼくらは こんな
泥の中で 身をひそめ
生きているの
母ガエルが 答える
ここは 命のベッド
泥の中で 力の限り
歌え 高く!

キツネの子が つぶやく
どうして ぼくらは こんな
穴の中で 夜にまぎれ
生きているの
母ギツネが 答える
ここは 大地のヘソ
闇の中で 眼を開き
光 放て!

カモメの子が つぶやく
どうして ぼくらは こんな
崖の上で 海をみつめ
生きているの
母カモメが 答える
ここは 世界の屋根
波の上で 地図を描き
飛べよ 高く!

未来の子が つぶやく
どうして ぼくらは こんな
汚れた場所で 息をこらし
生きているの
母親が 答える
ここは 知恵のゆりかご
汚れた場所から 楽園めざし
旅立て 遠く!

地球は回る ぼくらを乗せ
銀河の渦の中
地球は回る ぼくらを乗せ
銀河の渦の中
火と水と ひとつになれ
空と大地 ひとつになれ



自主制作版
「calm awareness」から
助川久美子
vocal,woodbass,acoustic guitar





この曲を助川久美子から初めて聴かされたとき、私の頭になぜかアーロ・ガスリーの名が即座に浮かんだ。60年代の社会混乱期に活躍したアメリカのフォークシンガーで、社会風刺や反戦色の強い歌を歌っていたと記憶している。アーサー・ペン監督の映画「アリスのレストラン」で同名の主題歌を歌っていたので、日本でも記憶している人がいるかもしれない。映画も、ベトナム戦争に対する批判色の強いものだった。

私はアーロ・ガスリーの曲をたいして聴いているわけではなかったが、即座に彼の名前を思い浮かべたのは、この曲が60年代アメリカンフォークの匂いを漂わせていたからかもしれない。

夜、公園のベンチで助川久美子がギターを弾きながら口ずさむ、そのメロディーを聴いていたら、「地球は回る」というフレーズがすぐに浮かんできた。詞が出来上がる前にタイトルが決まったわけである。そのAメロを録音して家に持って帰り、すぐに歌詞をつけた。同時に私は、またしても壮大な構想を練り始めた。曲調は60年代でも、詞の内容は21世紀初頭にふさわしいものにしたい。「大宇宙を旅する地球」という巨視的なイメージをもってきたので、次には「その地球上で日々繰り返される命のドラマ」という微視的なイメージをもってきたい・・・。そのときの私の脳裡には、アメリカンフォークとはまったく毛色の違う、もう一つ別の曲のことがよぎっていた。

東芝EMIから「レスピラール」という癒し系のコンピレーション・アルバムが出ている。人気が高かったらしく、パートU、パートV、パートWと続いているが、そのパートWの中に、「フォールス・フライ」(嘘つき蝿)という曲がある。アイルランド音楽の大御所ドーナル・ラニーという人の曲らしいが、シンプルなメロディーに神話的で哲学的な詞がついている。7歳くらいの少女と、その少女をたぶらかそうとする嘘つきのハエが、禅問答のような会話をする。概ねこんな感じ;

ハエ「輪よりも丸いものは?」

少女「輪よりも丸いのは、地球」

ハエ「空よりも高いのは?」

少女「空よりも高いのは、天国」

ハエ「海よりも深いのは?」

少女「海よりも深いのは、地球」

すると、嘘つきのハエは、炎となって燃え上がり、少女はそのハエが悪魔の化身であることを知る・・・。

何度聴いても飽きない曲で、自分もいつかこの「フォールス・フライ」のような詞を書いてみたいと思っていた。

私は、すでに出来上がっているメロディーをサビメロとして、AメロとBメロを新たに創って欲しいと助川に注文を出した。この注文に彼女は戸惑い、創作は難航した。しかし、いつまでも宿題にしておくわけにもいかないからと、彼女は深夜、公園の脇に停めた私の車の中で、ギター片手に新しいメロディーを紡いだ。こうして11分を超える大作「地球は回る」は、車の中で産声をあげた。

人も動物もあらゆる命を乗せて宇宙船地球号は、今日も大宇宙を旅している。その船内では、数え切れない命のドラマが日々くりかえされている。私たち人間は、そんな自分の居場所と旅の仲間たちをどれだけ大切にしているだろうか。宇宙船地球号にテーマソングがあるとしたら・・・。そんなイメージの曲に仕上がった。


文/Anthony K.