「セレナータ」 助川久美子/作曲
Anthony K./作詞
もっと そばに おいでよ
話が あるから
遠い日の夢は お星様になる

そっと 瞳 閉じてよ
息が 聞こえるから
旅立つ人のことは 風の便りになる

ずっと 肩を 抱いてよ
温もり 感じるから
明日の約束は 山の小鳥が歌う

じっと 目を 見つめてよ
何も 言えないから
過ぎた日の悲しみは 雲の彼方に消える

ぎゅっと この手 握ってよ
幸せ 探すから
物語の最後には 小さな花が残る

ありがとう 忘れない
ありがとう 忘れない

君が この世に 生まれたこと

共に 歩んだ 道のり
そして 君が 僕を 選んだこと



アルバム
「オトナのための子守唄」から
助川久美子 vocal,woodbass
石井鉄也 acoustic guitar




2000年12月24日、20世紀最後のクリスマス・イブの晩、助川久美子は友人に誘われ、生まれて初めて教会のミサに出かけた。チャペルの中には、数え切れないほどのロウソクが灯り、聖歌隊が合唱する賛美歌が響きわたっていた。その歌声を全身で浴びているうち、涙がとめどなく流れ、鼻からは鼻水が流れた。彼女にとってそれは、20数年間にたまった心の垢をすっかり洗い流すような、一種のカタルシスの体験だった。

そうしてひとしきり泣いて、涙も枯れ果てた頃、カラッポになった彼女の頭に、あるメロディーが聴こえてきた。それは、シンプルだが、透明で純度の高い響きを持っていた。

彼女がギターを爪弾きながら口ずさむそのメロディーを初めて聴いたとき、私の目からも涙が溢れた。それは、この世の生きとし生けるすべての命に捧げる讃歌のようにも響いた。そして、私の中から自然に言葉が湧き上がり、詞になった。

どんな人の人生にも、必ずクライマックスの瞬間がやってくる。その瞬間には、何も大袈裟なドラマは必要ない。大袈裟な会話も必要ない。人数も二人いれば充分だ。たった二人の人間が、ほんの一言二言、交わす言葉が宝石に変わる。そんな思いが、詞になった。

最初この曲は、5番までの歌詞だけで、サビの部分はなかった。その状態で、助川久美子がライブで歌うと大変評判がよかったにも関わらず、彼女はメロディーがあまりにシンプルなのに一種のコンプレックスを抱いているように見受けられた。ならば、と私はサビの部分の詞を書き、それに彼女がすぐにメロディーをつけ、現在の状態になった。

文/Anthony K.